今日のCNET Japan 梅田望夫氏blogでは「PCに残る仕事、残らない仕事」。
いま我々がPC上でやっている仕事の何がどの程度、PC上からなくなるのか。その文脈でeメールはこれからどうなっていくのか。それは、これから数年のコンピューティング環境を考えていく上での最も重要な問いの1つだ。梅田氏は今回のEntryで、情報を「こちら側(Local環境)」に置くのか、「あちら側(非Local環境)」に置くのか、という議論を“eMail”をテストケースとして議論しているが、上記で“最も重要な問い”としている通り、この議論についてはこれまでにも繰り返し触れている。
6/24 Desktop Linuxの可能性とGoogle
6/21 「Google PC世代」という考え方
Desktop Linux考に寄せられたコメントも非常に鋭いので、是非参照されたい。また、同じくCNETでblogを書かれている渡辺聡氏も6/28のEntryで「パワーシフト後にローカルPCに残されるもの」としてこの話題に触れている(本当は渡辺氏のblogを読んですぐこの話題に触れたかったのだが、時間的余裕がなかった。わたしもこのTopicについては非常に注目しており(6/2のEntryで“blog”を例にして少し触れてます)、あちこちで語りまくっているのですが、あまりにも業務ガチな内容なので、ここでは総論でなくエッセンスだけ。
* Thin Client構想?
90年代のThin Clientがうまくいかなかったのにはうまくいかなかっただけの訳がある。技術進歩の中途時期であったため、パフォーマンスが十分でなかったということもあるが、何よりもデスクトップPCのコストが劇的に下がったことで、(当初Thin Client陣営が主張していた)ハードウェアコストの差分が薄まり、わざわざ手間をかけてThin Clientに移行するのが面倒になってしまったのだ。10万円未満でPCが買える現在だってその状況は変わりない。「移行メリット>移行コスト」を明確に示せなければ、Majorityの移行は結局起こり得ない。
* では、あちら側への移行メリットとは?
企業の場合、セキュリティと管理コスト(notハードウェアコスト)。梅田氏blogへのコメントで「情報の保護、流出防止と言う観点で、今や、PC上のCドライブは伽藍堂です」とおっしゃっている方がいますが、ここまで徹底できているのは、ごく一部の企業のみでしょう。普通は日常業務の利便性を優先してローカルドライブに重要情報を保存、PCごと情報盗難の危険にさらされているのが実態です。
個人、もしくは企業内のエンドユーザーから見た場合はというと利便性。blogホスティングサービスやGmailの支持理由はこれですよね。
* 成功のためには?
エンドユーザーの利便性(=企業ユーザーの生産性)を犠牲にしないこと。既存システムとの親和性(移行ハードルの軽減)。
* 残る問題
「あちら側」に全部移行してしまった場合、ネットワークアクセスがなくなった途端、自分のものなのに触れなくなる。現在ホスティング系のサービスの利用者は「時々は仕方ないこと」と受け入れているが、すべてを移行してしまったら、そうも言っていられなくなるだろう。また、関連してバックアップや災害復旧などもIssueとなる。まあ、現時点では全面移行は現実的でなく「インターネット上のサービスと、パーソナルサーバーが共存する形での発展」が現実的なのだろう。とすると、何がPC上から消えて何が残るのか、という最初の問いに戻るのである。にやり。
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