ひとつ前のEntryの続き。昭和女子大オープンカレッジ オランダ講座の2回目は、オランダでの生活経験がある日本人女性2人が講師でした。熊倉さんは駐在員の奥様として滞在していらしたようで、普段接するビジネス界の人のように効率のよい話し方ではなかったのですが、じっくり聞いてみるとおもしろいエピソードがボロボロ出てくる、といった感じで、講座というよりお宅訪問みたいな雰囲気でした(笑)
話題はいろいろあったのですが、特におもしろかったのは、オランダの教育システムやその基盤となる考え方、それから医療と健康に関する考え方、の2つでした。
教育システムにおいて日本と大きく異なるのは、12歳から進む中等教育において、大学進学(VMO)一般中等教育(VMBO)、職業訓練中等教育(VMBO)とコースが別れること。日本では、高校からですよね。以下、オランダ大使館のサイトから抜粋。
オランダの教育制度
中等教育
12歳から子供は中等教育を受けることができ、3種類があります。
- 職業訓練中等教育(VMBO)
- 上級一般中等教育(HAVO)
- 大学進学中等教育 (VWO)
ほとんどの中等学校では、これらの教育のうち2種類以上を提供しています。VMBOは4年制で、その先は中級職業教育(MBO)に進むことができます。 HAVOは5年制で、その先は上級職業教育(HBO)に進むことができます。VWOは6年制で、大学教育(WO)に続きます。
高等教育
高等教育には、上級職業教育(HBO)と大学教育(WO)があります。2002年には、学士・修士資格制が導入されました。学士号を取得するには、大学では3年、HBOでは4年かかります。学士号取得者は、修士課程へ進むことができます。修士課程は通常1から2年間で、学科により異なります。ただし医学修士課程は3年間かかります。
アメリカのシステムなどはなんとなく知ってますし、日本とそんなに変わらないといえば変わらない。フランスのバカロレアとかは有名ですけど、オランダもこんなに違うものなんだー、と新鮮な驚きでした。さすがに12歳でその後の人生を決定付けるのは早いのでは、と思いますが、変更希望の学生にはTransferという道はあるそうです。
それから、「自立と協調」が重視される気風のオランダでは、教育の基本となる考え方として「社会に適合できるようになること」「興味を持つこと」にポイントがおかれており、その結果、例えば生後3ヶ月で託児所に入れることが一般的なのだとか。これは子供の社会性を養うというのに加えて、親の負担減という目的もあるようですが。日本人のお母さんが『いや、まだ早いし、わたし今働いてないから預ける必要ないし』と思っていても、オランダ人には『変よ』『閉じこもってちゃ良くないわ』などと言われてしまうそう(笑) 小学校の授業のスタイルも、手を挙げて発表、という日本のスタイルに比べると、よりディスカッションが多いとか。
それから、もうひとつおもしろかった医療と健康に関する考え方。オランダでは自然志向というか、極力医療が介入しないのがよしとされているそうで、例えば風邪で病院に行った場合、今の日本だとさっさと抗生物質が処方されると思いますが、オランダでは『熱あるのに、なんで病院来たの?リンゴジュース飲んで寝てなさい。2~3日経って、熱下がらなかったらまた来なさい』てなノりらしいです。一方で、『今週は疲れが激しいので、午前は休みます』といった自分自身での調整は割と普通らしい。これはうらやましい。。日本だと『ここんとこの殺人的状況を見てればわかるでしょ』なシチュエーションでも、いざ体調不良で休んだりしたら自己管理がなってないせいにされたりしますよね。
出産に関しても同様で、自宅出産の割合が約1/3!これには驚きました。日本だと0.2%とかですよ?自宅でリラックスして臨んだ方がよい、という考え方のようですね。そういえば、パリパリ伝説(フランス生活エッセイ漫画)でも、フランスの妊婦は普段通り過ごすってネタがあったなあ。服装もおしゃれで、煙草吸ったりとか。で、それを見たアメリカ人が『信じられない』って眉をひそめてるの。ひとくちに欧米って言っても、欧と米で全然違うところのいい例ですね。おっと脱線。で、オランダではそれ以外にも、日本では一般的なエコー検査はしない(悪影響がないと実証されてないから)とか、内診はしない(雑菌感染の可能性があるから)とか、日本だと常識になってることがそうではなかったりします。
という感じで、自然体を重視する国、オランダ。なんとなく、自分と相性のよさそうな国だなーと思って、嬉しくなりました。